明治種痘の研究〜補完する種痘積善社と対立する種痘勧善社〜
明治新政府による医療も含む諸政策の方向性は一般的に中央集権化であったが、明治初年の種痘に関する規則・法令は、中央集権化とは逆に民間に委ねる方向へとシフトした。その背景を、東京と岡山の種痘医たちの文書を掘り起こしながら明らかにし、日本における近代医療システムが確立されていく過程の一端を明らかにした。それを通して医学・医療の歴史が豊かで多面的であるという教訓を導いた。
日本医史学雑誌