【目的】幼少期からの調理の手伝いは,大学生の自炊の背景になるとされている.また,学童期の調理への関わりは,大学生の調理への関わり,ならびに大学生の自立と関連することが認められている1).しかし,大学生の調理への関わりと,大学生の自立との関連はこれまであまり検討されていない.そこで本研究は,大学生の調理への関わりが大学生の自立とどのように関連するか検討した.【方法】2023年,関東在住の女子大学生644名[栄養系349名(所属:管理栄養士又は栄養士養成課程),非栄養系295名(所属:その他の課程)]を対象にWeb調査を行った.対象者の居住形態は自宅に限定した.調査項目は中学生の頃の家庭の食環境(共食コミュニケーション,料理への配慮,食の教育),調理への関わり(調理頻度,調理技術,調理への志向性),自立[家庭生活自立,総合的自立(協調的対人関係,主体的自己,社会的関心,生活管理,肯定的自己認識の合計)]とした.これらを変数とする相関分析,ならびに総合的自立を目的変数,その他の変数を説明変数とする重回帰分析により,総合的自立とその他の項目との関連を検討した.【結果】栄養系と非栄養系に共通して,総合的自立への影響が最も大きかったのは家庭生活自立であった.また,両系に共通して,家庭生活自立と相関が高かったのは調理への志向性であった.非栄養系では調理技術の相関も高かった.以上より,大学生の調理への関わりは大学生の自立に対して,家庭生活自立へは直接的に,総合的自立へは間接的に影響を及ぼす可能性が示唆された.