目的 コロナ禍の外出自粛により,家庭での調理頻度が増加したといわれている。しかし,中学生を対象とした調査では,調理頻度が変わらない生徒が65%を占めていた1)と報告されており,中学生の調理頻度の変化は定かではない。そこで本研究では,中学生を対象に調理頻度の変化を調べ,過去1年間に家庭における調理頻度が増加した生徒の特徴を検討した。
方法 2021年10-11月に,関東圏の中学生466名を対象に質問紙調査を行い,家庭での調理頻度の増減,家庭の食環境,調理への関わり,家庭生活自立,社会的自立について尋ねた。集計後,対象者を家庭での調理頻度が増加した群(増加群,140名,30.0%)と減少した群(減少群,45名,9.7%)に分け,2群間で上記の質問項目についてt検定を行い,増加群の特徴を検討した。
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結果 増加群は減少群より,家庭の食環境(特に親の食の教育)得点が高く,調理への志向性得点,調理技術得点も高かった。また,増加群は家庭生活自立得点,社会的自立得点も高かった。このことから,親の食教育が,中学生の調理への志向性や調理技術を高め,それらの向上が家庭生活における自立や社会的な自立につながったと推察される。
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[文献]1)安藤弘行,小田麗子,村井陽子.新型コロナウイルス感染防止のため休校中の小中高校生の食生活の調査―学校における食育の課題―. 日本食育学会誌. 2021, Vol. 15, No. 3, 127-138.
キーワード:調理頻度frequency of cooking,食環境eating environment,自立independence