L-DOPA量を低減させたムクナ属マメを,あん及び生豆または煎り豆の粉末としたときのパンへの利用法について検討した。試料はハッショウマメ(JVB)とフロリダベルベットビーン(FVB)を用い,茹で豆からは生あんを,生豆または煎り豆からは粉末を調製し,あんと生豆粉末の糊化特性を示差走査熱量分析計(DSC)により測定した。パン作成時の小麦粉との置換率は0~50%とした。パンの焼成1h後および24h後に物性,色および比容積を測定し,嗜好性について官能検査を行った。DSC測定において生豆粉ではJVB,FVBともに67℃付近,煎り豆粉では80℃付近にピークが認められた。強力粉100%のコントロールパンに比較して,JVB煎り豆粉の置換率20%までのパンは焼成1h後では比容積,表面の硬さ,内部の弾力性ともに有意差はみられず,焼成24h後に20%置換パンの比容積と表面の硬さが有意に減少した。50%置換パンでは焼成後の比容積は小さくなったが官能検査では独特の色と風味を有すると評価され,パンとしての許容範囲にあったことからグルテンを添加しなくてもパンとして50%置換が可能であることが示された。
※発表者:飯島 久美子, 綾部 園子, 川杉 まい, 手島 陽子, 藤井 義晴, 香西 みどり