環境構成としてテーブルを積み重ねたところ、2人の女児が積まれたテーブルの内部の空洞になっている空間に、家に見立てたペットボトルを配置し、街に見立てていく姿が見られた。また、隣にある積まれたテーブルの空洞になった空間には、ブロックで作られた違った様相の街が展開され、ガラス製のおはじきを雪に見立てて降らせている様子があった。そこにL E Dライトを当ててみるが、「ライトにアクリル積み木を当てるときれいだよ」という保育者の言葉によりそれを試した子どもが、光の変色した様子に感動し、保育者も感動する。更に保育者が「他の物だとどんな色になるんだろうね」と言葉を掛けると、子どもは次々とマテリアルを試し、最終的にアクリル積み木を選択し、遊びを展開していった。
以上のことから、環境構成次第で子どもが気付き、見立て、遊びを展開していくことから、子どもの気付きをねらいとした、意図的な環境構成の重要性を感じた。そして、事例では触れていないが、ホールに遊びに来た子どもの目に光と影の部屋が映った時、それがとても魅力的であれば「触れてみたい、遊んでみたい」と思うことが多くなることからも環境の提示(ディスプレイ)方法にも工夫をし、こだわる必要があると感じた。また、保育者が助言や気づきを与えるだけではなく一緒に感動し、疑問を述べ、一緒に考える姿勢をもって子どもと考えていくことで、子どもとの同じ目線の対話が生まれ、動きが活性化し、新たな内発性を生み出す関わりになるのではないかと感じた。