目的:新人看護師支援のひとつとして、チームで「意図的な対話」を行った看護管理者の認識を明らかにする。
方法:新人看護師支援として「意図的な対話」を行った部署の看護管理者5名を対象とし、令和5年3月にグループインタビューを行った。<実施に至る動機><対話の実際><対話後のスタッフの変化>を中心に尋ね、逐語録を作成し質的に分析した。本研究では、「意図的な対話:チームメンバーが印象に残ったケアの語りを通して、それぞれの経験やケアの意図や意味を学びあうこと」と定義した。
結果:新人看護師への支援として「意図的な対話」を行った看護管理者には、【新人看護師の離職防止のために、看護を語ることでチームメンバーが知り合う機会をつくりたい】【コロナ禍でもチームで看護を語り合う機会をつくりたい】という動機があった。また、スタッフの負担がないように配慮し、部署にあった方法で実施していた。看護管理者自身も対話に参加し、この場が、新人看護師やスタッフにとって【コロナ禍で話す機会が少なかった新人看護師の人となりを知る】【互いの経験やケアへの意図・意味を知ることで相互理解が深まり、今後につながる意欲を生み出す】場になったと捉えていた。また、看護管理者自身にとっても【自分自身の日ごろの思いを伝え、看護を語ることの大切さをあらためて感じる】機会となっていた。実施後は、【スタッフ同士のコミュニケーションが増え、対話での学びがケアに活かされる】というスタッフの変化を捉えると同時に、看護管理者自身の【看護を語ることを日常の風景にしたいという思いを持ち、スタッフと相談しながら次の機会を計画する】という行動にもつながっていた。
考察:看護管理者は、チームで行う「意図的な対話」が新人看護師の支援となると認識していることが明らかとなった。加えて、チームにとってはより良いケアと自身の今後につながる相互支援の機会となり、看護管理者にとっては自身の思いを伝える機会となったと認識していることが分かった。今後は、看護管理者と同様に、新人看護師・チームメンバーの認識についても明らかにし、それぞれの立場から、「意図的な対話」がもたらす意味を明らかにすることが必要だと考える。