【目的】看護学科1年生が地域事業への参加を通して得た学びを明らかにする。
【方法】プログラム概要:A大学看護学科1年生125名は、障がい者や認知症高齢者、外国人、子どもなど地域に暮らす人々を支援する9事業の中から1つを選択。各事業の対象者と事業内容及び実施されている地域について事前課題に取り組んだ後プログラムに参加、終了後に事後課題として学びをまとめて発表した。研究方法:プログラムに参加し全課題を提出した学生のうち、本研究に同意の得られた者の事後課題の記述内容を分析した。分析対象項目は「①参加を通して感じたこと、学んだこと」、「②実際に参加して新たにわかったこと」、「③イメージが異なったこと・変わったこと」の3項目とした。分析は、記述を精読後、1つの意味内容を記録単位として抽出し、類似性に従い集積した。なお、研究者所属機関の倫理審査委員会にて承認を得て実施した(承認番号:2022-104)。
【結果】同意を得られた85名(研究参加率:68%)の記述を分析した。①参加を通して感じたこと・学んだことについては、172の記録単位から、14のカテゴリーが集積され、〈想像と違った実際の当事者像〉〈無意識の偏見と障がい〉〈当事者・家族と支援者のかかわりの実際〉〈支援者について〉〈事業の意義〉〈地域におけるまちづくりとの関連〉の主題が確認された。②は161の記録単位から17カテゴリーが、また③は、134記録単位から28カテゴリーが集積された。共通していたのは、実際に接した当事者の姿やかかわり方に関する事柄が多く見られた点であり、立地や設備など物理的面の地域に関する事柄は新たにわかったこととして多く記述されていた。
【考察】学生は、事業への参加で当事者・家族や支援者と関わったこと通して理解を深め、障がい者や認知症高齢者など当事者を個性ある人として捉え、強みを見出していた。また、これらの人々を含むすべての人が暮らしやすい地域を目指していく必要性を学ぶことができていたと考える。看護専門職としての本格的な学びが始まる前段階で、まずは共に暮らす社会の一員としての立場から、地域に暮らす様々な人々と支援者、及びこれらの人々が暮らす、制度等の社会環境や物理的環境を含む地域について理解できるというプログラムのねらいは達成されたと考える。