<目的>Covid-19の影響で臨床実習が制限された新人看護師に対して抱く先輩看護師の認識と、支援の実際について明らかにする。
<方法>臨床現場で新人看護師を支援している先輩看護師を対象とし、令和4年1月~2月に、個人もしくはグループでのインタビューを行った。インタビューガイドに沿って半構造的面接を行い、逐語録を作成し、質的に分析した。インタビューでは、どのように新人看護師の学びを支援したいのか、また、臨床実習が制限された新人看護師への認識と実際に行っている支援について尋ねた。
<倫理的配慮>A大学倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-0119)。研究対象者には、説明同意書に基づいて説明を行い同意を得た。
<結果>研究参加者は計15名であり、看護師経験の平均年数は20年であった。
先輩看護師は、Covid-19の影響で臨床実習が制限された新人看護師に対して、【明確ではないものの、例年とは何かが違う感覚を抱いて】おり、【なかなか臨床現場に慣れず、患者や看護師とのコミュニケーションに苦手意識があり】【理想があり思考することに長けているぶん、実践できなかった現実に直面して自信を失いそうになり】【先輩看護師の目が気になり、患者よりも自分のことを考えてしまう】傾向にあると捉えていた。先輩看護師は、そのような新人看護師に対して、【看護の楽しさを味わいながら、自分の軸を持って長く看護師を続けてほしい】【何よりも患者のために行動できる看護師であってほしい】と期待し、【新人看護師が職場に適応し、尊重されていると感じられるような環境をつくり】ながら【最初は新人看護師と一緒に動き、独り立ちしていく段階においても必要なときは側にいることで安心できる関係性を築いて】いた。また、先輩看護師は【新人看護師との対話を重ねながら、新人看護師が内省できるように支援すると同時に、自分自身の支援の在り方についても内省する機会を得て】いた。
<考察>先輩看護師は、例年との明確な違いは分からないながらも、何かが違うという感覚を頼りに新人看護師への支援を行っていることが明らかとなった。こうした先輩看護師の認識に基づく支援がコロナ禍で学生時代を過ごした新人看護師の傾向に見合ったものであるのかについて、長期的な視点で観察していく必要性が示唆された。本研究は、JSPS科研費21K10562の助成を受けて実施した。