【目的】教員が捉えたCOVID-19により臨床実習を制限されたことによる学生の学生像と代替プログラムを含む実習での学び、および就職後に卒業生への支援として臨床に期待することを明らかにする。
【方法】2022年度に新人看護師となった学生が参加した実習を2020~2021年度に担当した看護教員を対象に、2022年2~3月に、2名のグループインタビューおよび単独インタビューを実施した。インタビューガイドに沿って半構造化面接を行い、内容は臨地実習実績、代替プログラムの内容および学生に関する気づき、卒業後就職先に望む支援について尋ねた。逐語録を作成し、質的に分析した。
【結果】研究協力者は、看護系大学教員1名、看護専門学校専任教員2名で、教員経験年数は平均15年であった。131「コード」より、37『サブカテゴリー』、9《カテゴリー》に集積された。研究協力者は、突然始まった未経験状況に対し、《少しでも自信をつけ、看護をする喜びを感じて卒業させてあげたい》という思いで、《限界を認識しつつ、学んでもらいことが学べるように準備・工夫し、学生と一緒に代替実習を作った》こと、これを通して《従来の実習とは違う方法による学生の学びの可能性と課題を感じた》と語った。また、臨地実習について《臨床の学びは腑に落ち方が違う》と改めてその貴重さを再認識していた。同時に《コロナ禍で他者との対話や生活経験の機会が減ってしまったため、今後看護を学ぶ中で身につけていかなくてはならない》と学生のレディネスの変化を捉えていた。臨地実習が減ったことによる影響について、《技術不足を自覚している分、できないと伝えられる環境があれば貪欲に取り組んでいける》学生像と、《現場で大事な臨床での居方・振る舞い方を学べなかった学生がいる》という懸念を語った。これらを踏まえ、就職先での卒業生への支援について、《個別の経験を洗い出すとともに、自信がつくまで先輩と一緒に入らせてもらって、正統的周辺参加で学べるといい》、《臨床でないと見えない課題を見つけ、患者さんに向き合う中で自分も成長できるといい》と期待していた。
【考察】教員たちは様々な方法を取り入れ、従来の方法では得られなかった学びや学生の持つ力を発見していた。同時に臨地でしか学べない部分であり、看護技術や振る舞い方への支援を臨床に期待していた。