【背景】超高齢・多死社会に伴う医療費の逼迫に対し、医療提供体制の変化は、看護
職の役割拡大も含め、働く場や働き方を変化させてきた。国の政策では、看護職の離
職防止と復職支援対策を講じたが、長引くコロナ禍での辛い勤務、本意・不本意を問
わず異動・転職で看護職が働く場を変える機会がさらに増加し、職場を離れる看護職
も少なくない。そんな中、リタイア後の看護職が人材不足を補うために看護職として
復帰している姿をみかけることも多くなった。看護師の年齢階層別就業数(日本看護
協会統計資料室資料より)をみると、60歳以上の就業者の割合は6年間で1.7倍に増
加し、65歳以上も2倍に増えた。看護職の再就業は人材確保と看護の質担保において
重要であるが、セカンドキャリアで働く看護職を評価するのは複雑で難しい。前研究
のインタビューでも、複数の採用者から「50歳過ぎた応募者の採用は非常に厳しい」
という言葉が聞かれた。しかし、リタイアした看護職の活用はこれからの社会にとっ
て貴重であり、活用方法さえ適切であれば、生涯にわたる看護職のキャリア形成を実
現できると考える。本研究グループのメンバーは、働く場を移動しながらキャリアを
形成する看護職の支援について研究を進めてきたが、その知見をセカンドキャリアで
働く看護職にも活かせられれば、日本の医療を支える看護職の層が厚くなり、働く看
護職全体の労働環境にもよい影響を及ぼす可能性があると考えた。【本企画の目的】
セカンドキャリア看護職の働く場とキャリア形成について、働き続ける当事者の姿と
思いを聴き、その力を生かそうとする組織側からみた現状について意見交換すること
を目的とする。【企画内容の要約・ディスカッションの論点】事例を紹介し、それを
基にディスカッションする。1.本企画の趣旨および背景の説明2.話題提供:セカン
ドキャリアとして働き続ける看護職の事例紹介3.グループディスカッション4.全体
共有、まとめ・アンケート記入<ディスカッションポイント>事例をついて感じた事
、再雇用の実態(再雇用実績、どんな人を再雇用するか、共に働くことについてどう
思っているか、課題・悩み等)、自己(当事者としての)のセカンドキャリアに対す
る思い、経験のある看護職を組織の中でどう受け入れていくかなど。