学会発表
小野和哉, 石黒大輔, 中村晃士, 沖野慎治, 森美加,他1名.
自傷行為がありふれた症候となって久しい。以前は統合失調症や感情障害、発達障害の症候として知られていたが、その後境界性パーソナリティー障害の症候としても知られるようになり、さらに最近では一般の児童思春期の児童生徒といったプレメディカルな人々にも高率でみとめられることが報告されている。自己を傷つける行為は、実際には様々な様態があり、また種々の意味を内包している。そこで、自傷行為の変遷について、Ⅰ自傷行為の概念の変遷、Ⅱ 児童青年期のプレメディカルな事例への広がり、Ⅲ 自傷行為の内包する意味についての見立ての変遷という観点から考察してみた。自傷行為を行う者の背後には、自己評価の低さ、批判への傷つきやすさ、ストレスを受け止めたり、対人関係の中で処理することの不器用さがうかがわれる。