学会発表
前回の研究に引き続き、DBTの重要な要素である情動調節技能(Emotion Regulation Skills)を取り上げ、DBTテキストに沿って個人サイコセラピーの中で施行し、その有用性、認容性を検討した。その結果、プログラムを進める過程で衝動行為はその大きさ、頻度共に、前回に比べさらに減少していった。これは、患者自らがワークシートを記載する中で、自分の気持ちを言語化したり、衝動行為を未然に防ぐための対処法を具体的に提示できるようになっていったこと、また、課題の中で、長期のゴールを見据えた上での短期のゴールとそのためのステップを整理し、現在の自分の位置を確認することにより、日常生活の意義を感じ、慢性的な空虚感が減少していったことが効果的であったと考えられる。さらに衝動行為を行ってしまっても復活可能であることを実感し、やや柔軟性を持った考え方ができるようになっていったことも大きく影響していると思われる。