重森知奈,廣田栄子
自閉スペクトラム症(ASD)幼児の就学前時のナラティブの発話内容の特徴について定型発達(TD)児と比べて検討した。発話量は分析単位をコミュニケーションユニット数として求めた。2つのCUを因果的に結合した叙述に関して、結合の特徴を意味的に分析した。CUは内容によって、行為U、状態U(物の状態・人の状態、特性)、心情Uに3分類した。ASD児の発話量は、TD児と差はなかった。発話内容は、両児とも行為Uが多く、状態U、心情Uの順で低下した。CU結合では、ASD児ではTD児と比べ、心情Uで低下をみとめた。以上から、○○だから△△であるのような因果性については、ASD児では特に心情を他の事柄と因果的にむずびつけることが難しいことが明らかとなった。支援においては、心情や感情への気づき、関連付けに注目する必要性がある。