近年、日本における高齢者人口の増加やスポーツ愛好者の増加などもあり、身体の不調やケガが増え、運動器疾患を扱う柔道整復師の社会に対する貢献が一層必要になってきていると感じる。
現在、柔道整復師においては、国家試験に向けた知識重視の教育となり、卒前教育で臨床現場に則した教育が行われていないのが現状ではないかと考える。
柔道整復師養成施設校や大学において、即戦力となる柔道整復師の育成は急務であり、卒前教育での臨床実習の充実は欠かせない。
本書は、「臨床実習テキスト」として臨床で必要となる知識や技術を集約し、科目をまたいで掲載している。日頃、学んでいる基礎知識が臨床の場でどのように生かされているのかを学んでいただきたい。
また、国民の医療に対する関心の高まりからも、医療人としての心構えや倫理規範についても触れている。
卒前教育の臨床実習の場で、本書を活用していただき、効率よく実習を進められ、学び多い臨床実習になることを節に願い、社会で活躍できる柔道整復師育成の一端を担うことができれば幸いである。