その他の研究業績等

基本情報

氏名 恒松 美香子
氏名(カナ) ツネマツ ミカコ
氏名(英語) Mikako Tsunematsu
所属 ヒューマンケア学部 鍼灸学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

ヒトにおける足三里への鍼通電刺激は全血LPS耐性を変容するか?

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202405

発表学会等の名称

全日本鍼灸学会学術大会抄録集73回

概要

目的:足三里 (ST36)への刺激は免疫応答に影響を及ぼす可能性が示唆されているが、足三里の誘導する免疫応答の変容効果は不明な点が多い。他方、エンドトキシン (LPS)の血中流入は炎症を惹起させ、生活習慣病、自己免疫疾患、COVID-19の後遺症など、様々な疾患に関与する。本研究ではヒトにおける足三里への鍼通電刺激 (EA)がLPS由来の血中炎症応答に与える影響を解析することを目的とした。
方法:若年男女63名を無作為に2群に分け、それぞれ偽処置群 (CON、n = 32)、鍼通電刺激群 (EA、n = 31)とした。左右の足三里に対し、CON群は切皮 (2~3mm)程度、EA群は2.5cm程度の深さとなるよう刺入し、EA群には通電刺激を追加した。両群共に4日間連続で介入を行い。介入前後で採血を行った。介入後の全血に対してLPSを添加し、3時間の培養を行った。その後、血漿中の炎症性サイトカイン (TNF-α、IL-6)、抗炎症性サイトカイン (IL-10)濃度を解析した。また、末梢血単核細胞を単離し、異物貪食能解析のため蛍光Latex-beadsを添加しFACSにて解析を行った。
結果:介入前後の比較において、両群共にTNF-α、IL-6の濃度に差は認められなかった。介入後において、CON群の全血にLPSを添加すると炎症性サイトカイン濃度は増大した。一方、EA群においてはTNF-αの分泌増大は抑制され、CON群に比してEA群で有意に低値となった。IL-6とIL-10はLPS添加により増大したが、EAによる差は認められなかった。LPSにより異物貪食能は増大したが、差は認められなかった。
考察・結語:ヒトにおける足三里深部への鍼通電刺激は、足三里切皮程度の刺激に比してLPS誘導性の炎症応答を抑制する可能性が初めて明らかになった。この効果は、LPS由来の血球炎症により惹起される疾患の発症・進展の抑止に有用である可能性が示唆された。今後は足三里が誘導する効果の経穴特異性を検証していく。
p215
藤川 新大、恒松 美香子、玉井 秀明、小峰 昇一