<境界>の今を生きる―身体から世界空間へ・若手一五人の視点
本稿では、自身の身体に嫌悪感を持ち、性別の再適合を望む性同一性障害者の例に基づいて、性別や身体を越境していくる身体性について論じた。性同一性障害者の身体は、他者との間で比較され、否定され揺らぎ続ける受動的な身体であるとし、彼らは自らについて語るべき言葉すら喪失している存在であることを指摘した。研究者との間で語る-聞き取られるという相互行為のなかで当事者の語りが紡がれる様相について記述した。
東信堂