その他の研究業績等

基本情報

氏名 平 裕一郎
氏名(カナ) タイラ ユウイチロウ
氏名(英語) Yuichiro Taira
所属 薬学部 薬学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

抗メソテリン-VHH抗体の性状解析とがん細胞株を用いた評価

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202303

発表学会等の名称

日本薬学会 第143年会(札幌) 2023年3月26日(日)

概要

【目的】メソテリン(以下、MSLN)は、中皮細胞に限局して発現しているGPI型の膜結合型糖タンパク質である。MSLNは、膵臓がんや卵巣がんなどの様々な悪性腫瘍で過剰発現していることやがん抗原と結合し、がんの転移に関与することが報告されている。現在、MSLNを標的とした抗悪性腫瘍薬や診断薬の開発が進められている。今回、MSLNに結合活性を有する汎用性の高い低分子抗体と呼ばれるアルパカ由来VHH 抗体について性状解析を行った。
【方法】MSLNに結合するVHH抗体として、2種類の評価を行った。精製したMSLN抗体の結合特異性(フローサイトメトリー法)、エピトープ解析(ELISA)及び結合力解析(表面プラズモン共鳴分析法)を実施した。また、卵巣がん細胞株と組換えMSLNとの結合を抗体が阻止できるか検討した。
【結果・考察】検討した2種類のVHH抗体が、ヒトMSLN、マウスMSLNに結合することがフローサイトメトリー解析の結果より明らかになった。また、エピトープ解析において、両者ともMSLNの細胞外側領域の最も外側を認識することが分かった。一方、結合力解析においては、1クローンについてはピコモーラーオーダーで強く結合するという結果が得られた。卵巣がん細胞株に対する結合阻止アッセイでは、両者とも結合阻害活性があることが分かった。以上の結果より、MSLNに結合するVHH抗体の性状を明らかにすることが出来た。1クローンについては、ヒトMSLNに対して強い結合力を有しており、マウスMSLNにも結合するため、動物実験にも応用できることが分かった。MSLN-VHH抗体は、MSLNの分子メカニズムに関する研究やMSLNを標的とした創薬研究において、有望な創薬ツールとなることが期待される。

発表者 清水 芳実、常行 航平、古川 祥平、磯田 勝広、平 裕一郎、平 郁子、石田 功