TNF-αは腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する作用を持つことが知られている。しかし、TNF-αの全身投与によるがん治療は、副作用の問題から成功しておらず、TNF-αを医薬品として利用するためには腫瘍組織特異的に作用させる必要がある。我々はこの課題を、腫瘍組織に特異的に集積する性質を持った、偏性嫌気性菌であるビフィズス菌をDDS担体として用いることで克服し、ヒトTNF-α発現プラスミドを導入した組換えビフィズス菌クローン(以下M4)が、①大腸菌由来の標品TNF-αと比較して同程度の活性を持つTNF-αを分泌すること、②2種類の膵臓癌細胞に対してin vitro、in vivo実験系のどちらでも抗腫瘍効果を発揮することを既に報告している。今回は悪性黒色腫細胞B16F10にTNF-αが有効であるかをin vitroで検討し、局所に作用させたTNF-αが、宿主の免疫能を高めるかどうかをin vivoで検討した。
担当部分:共同研究のため本人担当部分抽出不可能
加藤雅和、平裕一郎、平郁子、清水芳実、磯田勝広、斎藤浩美、石田功