【目的】臨床現場における、外国人患者への対応、科学的知見や医薬品情報の迅速な把握の必要性により、薬学分野での英語能力の向上は重要である。本研究では、本学薬学部4年生に、英語演習の開始時と終了時に「学習感情」「学習到達度感」の調査を行い、効果的な薬学英語教育体系を構築するための基盤的データを得ることとした。
【方法】2022年度4年生(189名)に対し、英語演習開始時と終了時に「学習感情」「学習到達度感」のアンケートの回答を依頼した。アンケートは5件法で作成し、調査協力に同意した学生が匿名にて回答した。英語演習開始時には「学習感情」に関する質問項目(32項目)に3年生までの英語教育に対する「学習到達度感」の質問(8項目)を加えた40項目のアンケートを、終了時には「学習感情」に関する項目に「学習到達度感」の質問(4項目)を加えた36項目のアンケートを実施した。得られた回答について因子分析およびt検定にて解析した。
【結果】得られた回答を基に、英語に対する「学習感情」について、因子分析により3つの因子に集約できた。第1因子はポジティブな感情に関連することから「正のイメージ」、第2因子はネガティブな感情に関連することから「負のイメージ」、第3因子は努力の効果に関連することから「積み重ねの効果」とした。これらの因子のうち、演習前後の変化として、「積み重ねの効果」に有意な増加がみられた。
【考察】本研究により、学習を積み重ねることによって、学生自身が効果を感じていることが分かった。しかし、4年間の学習を積み重ねても「後悔」など負のイメージが払拭しきれないことも事実である。英語学習に対する「積み重ねの効果」を高められるよう、援助する実践的な教育体制の構築をすすめる必要がある。
発表者
○髙木 彰子1、前田 ニコラス2、渡邊 伸一1、平 裕一郎1、平 郁子1
(1. 帝京平成大学薬、2. 帝京平成大学人文社会,人間文化)