東日本大震災(3・11)の体験や映像をきっかけに,自身の戦争体験が蘇ってくる体験をした著者が,同じ世代の人たちも今回の出来事を自身の個人史抜きに語ることはできず,内なる思いを深めていったのではないかという思いに至り,「震災」を「戦災」まで遡って捉えようとする著作の紹介を行った。間接的な体験であっても,トラウマ的な出来事が過去のトラウマの扉を開いてしまう可能性があることや,人間が抱える苦悩や課題の処方箋としての「読書のもつ可能性」,常に見過ごされがちである現場で救援に当たる「支援者の支援」の重要性について述べた。