本研究の目的は看護学生が実習で学んだ認知症カフェの意義について明らかにし、教育効果の示唆を得ることが目的である。対象はA大学看護学科の3,4年生のうち在宅看護論実習を修了し、本研究に同意を得られた者とした。分析方法は、認知症カフェに参加した学生の実習記録から逐語録を作成した。その逐語録のデータを繰り返し熟読し、コード化を行った。各コードを意味内容が類似しているものに分け、カテゴリーを作成した。結果として研究対象は在宅看護論実習に参加し同意書を提出した119名のうち44名だった。97のコードと26の小カテゴリー、10の中カテゴリ、大カテゴリー≪≫を抽出した。学生のレポート記述内容は「社会に参加するきっかけとなっている」等、≪当事者の外出、社会参加の場≫であった。「様々な悩みに対して、同じ状況を体験したご家族や専門職者など様々な方面からのアドバイスがあり、家族にとって、安心できる頼れる場所となっていた」「交流できる場、情報交換の場、ピアサポートの場となり、≪介護者のサポートの場」」となっていた。「当事者とご家族にとって、お互いがお互いを支える・支えられる相手がいること、話し合える場が設けられていた」「当事者が明るく過ごすことが出来る場」となっていることから≪当事者家族ともに楽しく、安心して過ごせる場所」であった。「不安や介護に対しての困りごとを医療・介護の専門職や有識者を交えながら話し合い、住みなれた地域で最期まで自分らしく生活するための相互支援や相互学習を実施している」「住み慣れた地域でその人らしく暮らすことができるように、その人を尊重していた」「活動により地域での支え合いが活発となり、認知症の方が暮らしやすい地域になる」など、≪当事者と家族を地域に繋ぐ懸け橋の場》となっていると学習していた。看護学生は認知症カフェの意義を≪当事者の外出、社会参加の場≫≪介護者のサポートの場≫≪当事者家族ともに楽しく、安心して過ごせる場所≫≪当事者と家族を地域に繋ぐ懸け橋の場≫と捉えていた。地域包括ケアシステムの中では「自助」「互助」の実際を学べる内容であり、地域での多様な場の看護や支援のあり方を学ぶ機会となっていた。