『タンホイザー』の成立に関する考察
本論は、ヴァーグナーの歌劇『タンホイザー』の成立過程に焦点を当てて論じたものである。ヴァーグナーの生活史及び思考体験を基に、近年の他のヴァーグナー研究を加味してその成立にまつわる問題点を指摘した。特に19世紀前半の独文学及び独文学研究との密接な関わり合いが論じられ、その実例として、H・ハイネの『精霊物語』とJ・グリムの『ドイツ神話学』が取り上げられ、後者についてはこの歌劇との深
早稲田大学大学院文学研究科独文専攻 ANGELUS NOVUS 会発行 『ANGELUS NOVUS』 第13号 pp.41-54