ヴァーグナー対カトリツィスムス
本論は、ヴァーグナーの劇草案『ナザレのイエス』を中心にヴァーグナーとキリスト教の関係について考察を試みたものである。論点は、ヴァーグナーのキリスト教解釈と後期作品への影響に置かれた。ここで明らかにされたことは、ヴァーグナーの反旧教的立場と新教的傾向である。そしてそのキリスト教解釈は正しくヴァーグナー的特質に満ちたものであった。
早稲田大学大学院文学研究科発行『文学研究科紀要別冊第9集』PP.101-109