1870年代のリヒァルト・ヴァーグナー
ヴァーグナーは1870年代に数多くの文章を次々と発表している。論文・論説の類だけでも計23編にのぼる。これは1860年代の論文数のほぼ2倍に相当する。しかも、彼の思想や芸術観を知る上では、70年代の論文の方がはるかに重要である。本論文では、1870年代に執筆された論文(特に「時間と空間における公衆」)を基にヴァーグナーと時代環境について展望し、一見したところ無関係に思えるヴァー
帝京技術科学大学発行『紀要』第4巻第1号PP.121-127