Pusher 現象を呈した症例に対し、端座位保持及び起居動作獲得を目指した介入をしたので報告する。尚、本症例に際し症例から書面にて同意を得た。対象は右中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を発症し、減圧開頭術を施行した 70 代女性で、介入時 JCSⅠ-1、左片麻痺 Brs.stⅠ-Ⅰ-Ⅰ、左半側空間無視は福井の重症度分類で Grade5、Pusher 現象は SCP6 点であり、端座位保持及び起居動作に全介助を要した。【方法】術後 3 週目より、非麻痺側に 5 度傾斜するようにティルトテーブルを設定し、姿勢鏡を前方に配置した状態での座位保持訓練を開始した。4 週目からは同条件に加え前方への体幹前屈訓練、On elbow 肢位訓練を実施した。5 週目から傾斜角度を 3 度に変更した。6 週目からはベッドフラットの状態での座位保持訓練、On elbow 訓練を開始し、7 週目には起居動作訓練を開始した。神経症状には明らかな改善を認めなかったが、SCP は 3.5 点まで改善を認め、術後 8 週目には端座位保持及び起居動作が監視で可能となった。身体の垂直軸に歪みが生じ伸展反応が出現する症状に対し、非麻痺側へ座面を強制的に傾斜させる 事や On elbow 肢位を行なう事で垂直軸を再学習し介助量の軽減に繋がったと考える。
本人担当部分:抄録、発表準備協力 (共同) 共同発表者:山口重磨、吉野智佳子