心理支援職のキャリア形成は、典型的なモデルが存在しない。臨床心理士・公認心理師を養成する上で、キャリア教育は重要な課題であるが、心理職のキャリアは領域毎、勤務形態毎に個別性が高く、キャリア形成過程は異なることが推測される。多様なキャリア形成過程の分析を蓄積し、その背後にある共通性と個別性を見出すことで、キャリア形成に関する基礎的資料を得ることができるのではないかと考える。本研究では、常勤職に加えて経験を積むための兼務、自分の志す臨床ができるような場を探索するための兼務などの経験を積み、常勤職から複数領域の非常勤職を組合わせる働き方へ変遷したキャリア形成過程を、複線径路・等至性モデルを用いて整理、分析し、そのキャリア過程での心理支援職の発達を考察した。