MCTと統制群を比較し、MCTの介入効果について検討した。本研究では、MCTと統制群における前後比較では、自尊心(評価)および自己意識(公的自己)において変化が見られた。自尊心の改善傾向が、本研究ではMCT実施直後の改善として確認されたが、これは対象者が能力低下の少ない思春期から青年期にあたる若い初発性の統合失調症患者であったことから、早期的な改善につながった可能性が考えられる。また、感想の分析より、対象者に「認知バイアス理解-自己洞察-対処」の意識があり、また実際に得た認識を生かす場としてDCを用いること、また他者からのMCT内容を実践した際のポジティブフィードバックを受けられることが、メタ認知が活性化され自己評価を高めることにつながったのではないかと考える。公的自己意識の変化には上記のことが影響しもともと低い公的自己意識が改善しているという傾向が考えられ、社会的対象としての自己を意識することが少しずつであるができてきていると考えられる。 江口聡,管心,藤枝由美子,夏堀龍暢,山崎修道,笠井清登.