研究目的は、1年目看護師と2年目看護師の看護実践の質の現状、および、それに関係する特性を解明するとともに、両看護師間の結果の比較を通し、これらの看護師の看護実践の特徴と教育や支援のあり方を検討することである。
文献検討に基づき構築した概念枠組みは、看護実践の質に関係する可能性のある看護師の特性22変数を含む。看護実践の質の測定には「看護師の問題解決行動自己評価尺度」 ) (以下PSN、9下位尺度、45項目)、看護師の特性および対象者の背景の把握には看護師特性調査紙を用いた。全国79病院の病棟に勤務する1年目(1,183名)と2年目(1,059名)の看護師に調査票を配布した。1年目看護師、2年目看護師からの調査票回収数(回収率)は、各々、413部(34.9%)、372部(35.1%)であった。有効回答数は、各々、360部、306部であり、これらを統計学的に分析した。結果は、1年目看護師(以下、1年目群)のPSN全45項目から算出した1項目あたりの得点の平均(3.55点)よりも2年目看護師(以下、2年目群)のそれ(3.65点)が有意に高い(p = .008)ことを示した。また、1年目群、2年目群ともに〔自己の看護実践に対する自信〕が、さらに、1年目群は〔自分に合った日常生活の構築状況〕、2年目群は〔看護師としての目標の明確性〕等が看護実践の質に関係していた。これらの結果を文献と照合し、1年目看護師、2年目看護師の看護実践の特徴、教育や支援への示唆を得た。