[背景]バレエの基本姿勢の一つであるアラベスクは、股関節の伸展に骨盤の傾斜を伴うことが報告されている。しかし、姿勢保持時の体幹筋活動について運動学的に評価したものは少ない。
[目的]本研究は、アラベスクにおける体幹筋の活動機序を明らかにすることを目的とした。
[方法]被験者は過去3カ月以内に腰部や下肢に整形外科疾患のないプロダンサー5名(平均年齢35.2±9.4歳、男性2名、女性3名)とした。被験者には研究目的および内容について説明し同意を得た。使用機材は三次元動作解析装置(100 Hz)、床反力計(1,000 Hz)、表面筋電計(1,000 Hz, Butterworth filter 20-400 Hz)とした。反射マーカーはVICON®Plug-in gait AI modelに準じ39か所に取り付けた。筋電図の被験筋は腹直筋および脊柱起立筋とした。測定は、床反力計上で両脚を肩幅に広げた立位姿勢を基準値とし、パッセ、アティチュード、アラベスクの順に実施した。各姿勢を保持している状態の骨盤、股関節の角度変化量、および体幹筋の活動量について解析した。
[結果]下肢の伸展に伴い骨盤の動作脚側への回旋、前傾、支持脚側への傾斜および脊柱起立筋の活動量上昇を確認した。一方、腹直筋の活動量上昇はみられなかった。
[結論]アラベスクの姿勢保持において腹直筋の活動は関与しない可能性が示唆された。