これまで暗黙知であった理学療法士による臨床推論に形式知を加味するためには,臨床で用いられている理学療法評価をできる限り数量化して,科学的根拠に基づいた治療法の選択や運動機能障害に対する予後予測を行う必要がある.理学療法診断に基づく臨床推論により,理学療法士が実施可能な検査の標準値を設定し,臨床予測式の臨床的有効性を確認することができれば,対象者の特性を考慮した最適かつ効果的な理学療法介入を選択するための一助になる.さらに,多施設共同研究によって,様々な要因によって層別化された信頼性のある大規模データを提示することができれば,対象者や社会への説明責任を果たせるため,理学療法の透明性の改善と診療報酬の適正配分に繋がると考える.(論文執筆指導を担当)