理学療法の適用を判断する際,「歩行障害があるから歩行練習」というように介入内容を決定している場合がある.その一方,実習などで見られる臨床推論では,解剖学・生理学・運動学などの知識と病理学的な分析を加えた演繹的な考察によって介入プランを立てる.しかしこれらはいずれも自己完結的であり,客観的な検証がなされにくい.本稿では,理学療法の適用判断を客観的な方法によって可視化し,介入内容や適用可否を判断する上で有用な情報を提供することのできる理学療法診断学を構築する意義と具体的手法を述べた.(論文執筆を担当,pp609-614)