老化は活性酸素(Reactive Oxygen Species, ROS)と深く関わっており,その本体はミトコンドリアの発生する活性酸素である。古来,未病に焦点を当て用いられてきた漢方薬は,近年になると,分子標的の解明や構成生薬から有効成分が同定されるなど,科学的根拠に基づいた医療であること(Evidenced-Based Medicine, EBM)が実証されるようになると,今日の医師の90% が漢方薬を処方するに至っている。また,漢方薬には未だ解明されていない作用も多く,酸化ストレスを軽減するものであれば,老化を遅らせる効果のあるものも期待できる。そこで,本稿ではin vitro の抗酸化評価系とin vivo の老化モデルである線虫(C. elegans )の寿命測定法を用いて,健康寿命の延伸を目的とした漢方薬の抗老化作用の網羅的な解析を行なっているので紹介する。