【背景】
•現代社会は情報にあふれ、とりわけAIやIOTはひとびとに益をもたらすが、一方で情報の不確実性により人々に不安感情もひきおこす。
•今後ますます進展するであろう情報化社会において、不確実性と価値多様性の中で不安感情を抱えながら人々は医療における決断を行う状況にある。
【目的】
•情報の不確実性と価値多様性の中で、人々は引き起こされた不安感情とどのように向き合い、医療における決断をするのか、「コンフリクト体験」に関する複数の人々が語る物語の分析から決断プロセスを解明する。
【方法】
•対象者
15名(男性4名、女性11名)
「医療に関連する『意思決定』の場面において、コンフリクト体験をしたことがある人」という設定のもとで調査会社に対象者のリクルートを依頼。
•インタビュー期間
2017年7月~11月
•ナラティブインタビュー
過去の経験の聴き取り
•インタビューガイド
意思決定の経緯(どのような経験をしたのか)
決断で何が困難だったか?
決断で何が不安だったか?
決断に至る上で誰と話をしたか?
意思決定に至る上での認識・価値づけ・感情はどのようなものか?
【結果】
コンフリクト体験により不安感情が沸き上がり、決断のゆらぎを体験するが、自己との対話(内省)、他者との対話により思考や価値観の変容が起こり、その後の情報のとらえ方や価値づけに変化をもたらすプロセスが明らかになった。
【結論】
人は沸き上がった不安感情を抑え込むのではなく、その感情との付き合い方の術を身に着けていくが、よりよいセルフケアにつながることが示唆された。