本研究では、推論の誤りの低減へ向けた意味づけの同化と調節が抑うつ症状に与える影響を探索的に検討した。
調査対象者は体育系大学に所属する1317名で、そのうち競技を継続していると回答した980名を分析対象とした。
その結果、アスリートの推論の誤りは抑うつ症状に高い影響を与えると考えられるが、意味づけの中の調節を介することにより、抑うつ症状が低減する可能性が示された。しかし、調節は自身の持つ見方や考え方を修正していこうと努力する過程の中で新たに得られた情報により否定的な理解や解釈に繋がる危険性も想定されるため、援助や介入の際には肯定的な方向へと導く働きかけが必要と考えられた。