本研究の目的は、株主の役割と問題点を明確にし、所有と経営が未分離の会社にとって望ましい企業統治を提案することにある。企業統治に関する問題は、所有と経営が分離した企業において見られるとして、これまで多くの研究がされてきた。しかしながら、中小企業に多くみられる所有と経営が未分離の企業では、株主が本来の役割を果たし得ず、株式会社の優れたシステムが機能していない。所有と経営が分離した企業について、ネオ・アングロサクソン型とライン型の牽制システムを比較し、所有と経営が未分離の企業に求められるシステムを提案する。