私自身のこれまでのキャリア形成についてあらためて振り返ると、キャリア上の様々な挫折体験や転機等の局面において、計画された偶発性理論を活用して、何とか乗り切って歩んできたことが確認できた。
計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、スタンフォード大学のJohn D. Krumboltz教授が提唱した理論で、「計画」(plan)と「偶発性」(happenstance)」という、ある意味、相反する概念が組み合わさった理論で、この理論の本質は「行動すれば思わぬチャンスに遭遇することがある」ということである。とはいっても、行動したから常にチャンスに出合うとは限らないし、行動しなければ何も起きない。様々なことに関心を持ち、積極的に動くことで、自分らしいキャリアにつながるチャンスを得られるという理論である。
この理論では、以下の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすいと考えられている。すなわち、好奇心(Curiosity)、持続性(Persistence)、柔軟性(Flexibility)、楽観性(Optimism)、冒険心(Risk Taking)である。今回、私自身のキャリア形成における様々な挫折体験や転機等の局面において、どのような対処、行動をして、現在のキャリアに辿り着いたか、4つのエピソードを計画された偶発性理論に基づいた分析をしながら紹介する。