本研究は,実地指導者が新卒看護師を教育する中で困難に感じていることを明らかにすることを目的とした.
承諾が得られた大学病院の実地指導者92名を対象に,2021年2月~3月に無記名自記式質問紙調査を実施した.質問紙は,郵送法にて回収した.調査内容は,①個人属性②新卒看護師を指導する中で困難に感じた経験③コロナ禍により新卒看護師の指導が困難と考えられることとした.自由記述データの分析方法は, Krippendorff(1980)の内容分析の技法を参考に文脈を重視しながら,意味内容の類似したものにまとめ,カテゴリーとサブカテゴリーに分類した.分析の妥当性の確保のため,看護管理の研究者よりスーパーバイズを受けて実施した.
新卒看護師を指導する中での困難感については,89の文脈が得られ,3カテゴリー ,13サブカテゴリーが得られた.カテゴリーは,≪新卒看護師の指導を受ける姿勢に対する困難≫,≪指導力に関する困難≫,≪先輩や上司と指導方針の意見相違による困難≫であった.コロナ禍における指導上の困難感については,31の文脈が得られ,3カテゴリー,7サブカテゴリーが得られた.カテゴリーは,≪実習体験が少ない新卒看護師に対応する不安≫,≪新卒看護師のサポート面での困難≫,≪新卒看護師を指導する時間の増加による負担≫であった.