領域別看護学実習における看護学生の不安を評価する31項目からなる尺度原案を作成し,領域別看護学実習を控えている首都圏の私立看護系大学4校349名の学生を対象に個人の属性に関する質問,鹿児島大学版臨床実習用ストレス質問紙(Clinical Stress Questionnaire:鹿大版CSQ)および尺度原案によって構成される質問紙調査を実施し,293名(女性261名,男性32名)から有効な回答を得た。尺度原案31項目の中で,修正済み項目-合計相関(I-T相関)において
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<0.3であった項目,および項目間相関において
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≧0.7であった項目の一方を除いた22項目について,探索的因子分析を行い3因子19項目の尺度を完成させ,第1因子を「実習中の対人関係に対する不安」,第2因子を「実習における自己の能力に対する不安」,第3因子を「看護実践に対する不安」と命名した。確証的因子分析によるモデル適合度は,GFI=0.975,AGFI=0.968,NFI=0.969,RMR=0.084,(p<0.01)であった。本尺度と鹿大版CSQにおける不安感情を評価する「脅威的感情」との相関係数は0.530(p<0.01)であった。1回目の調査対象者に含まれる3校292名に対して,再テストを実施し114名から有効な回答を得た。再テストにおける不安評価尺度総合得点の級内相関係数は0.70(p<0.01)であり,尺度全体のクロンバックα係数は0.89であった。以上の結果から,開発した領域別看護学実習の不安を評価する尺度には信頼性・妥当性があると判断した。