急性期病院で看護師が認知症高齢者を看護する中での困難感がバーンアウトへ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
調査対象は,全国の200床以上の国公立系医療機関で急性期病院のうち,承諾が得られた14病院で認知症高齢者が入院している病棟で勤務する看護師2032名を対象とし,自記式質問紙調査による横断研究を実施した.質問項目は,バーンアウト(日本版MBI-HSS) 22項目を目的変数とし,筆者が開発した急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感尺度16項目,ワークライフバランス(以下,WLB)尺度24項目,個人要因17項目,環境要因8項目を説明変数とした.分析方法は,1)本研究の対象者の特性を記述統計,2)2変量解析,3)多変量解析,4) 急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師のバーンアウトの関連要因を明らかにするため,重回帰分析のステップワイズ法を行った.結果は,有効回答数は1235名(60.8%)であった.バーンアウト総合得点平均は12.6点であり,施設間の有意差は見られなかった.重回帰分析の結果,説明率の高いバーンアウトの関連要因は,認知症看護困難感,WLB,自分の健康を維持できる,職場満足,患者のわがままや過度な訴えに対して看護師がもつ陰性感情,転職希望,アサーティブネス,感情コントロール,子どもの有無,性別であった.自由度調整済み決定係数は0.56であった.