血液透析療法では、血液とヘモダイアフィルタの接触により、補体系、血球成分、凝固系の活性化などの生体反応が起こる。1960年代から、このような反応が起きないような生体適合性に優れた透析膜の開発が行われてきた。現在までに、セルロース系の再生セルロース膜(Regenerated cellulose、RC)をはじめ、合成高分子系のポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile、PAN)膜、ポリメチルメタクリレート(Poly(methyl)methacrylate、PMMA)膜、エチレンビニルアルコール共重合体(Ethylene vinylalcohol copolymer、EVAL)膜、ポリスルホン(Polysulfone、PSf)膜、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、PES)膜、ポリエステル系ポリマーアロイ(Polyester polymer alloy、PEPA)膜などが開発されている。透析膜の素材によって生体適合性は異なり、また、素材だけでなく、透析膜の疎水性の強さ、透析膜表面の粗さ、滅菌方法、透析膜の荷電、中空糸内径の太さなども生体適合性に影響を与える。これらのことから、ヘモダイアフィルタを選択する際には、溶質透過性と透水性だけでなく、生体適合性にも注意を払う必要がある。