【背景】大学野球選手の投球側肘内側不安定性は、非野球選手と比較
して大きい。また、投球動作は肘外反モーメントと関連する.その
ため、大学野球選手の投球側肘内側不安定性は、投球動作の反復に
より起きていると考えられている。しかし、成長期野球選手におい
ても肘内側不安定性と投球動作が関連するかは明らかではない.
【目的】成長期男子野球選手における肘内側不安定性と投球動作の関
連性について検討すること。
【方法】研究デザインは横断研究で、対象は成長期野球選手15名(10-
12歳)である。測定項目は肘内側不安定性と投球動作とした。肘内
側不安定性は超音波断層撮影装置を用いてgravity testでの内側1付関
節裂隙長の変化量を測定した、投球動作は三次元動作解析装置を用
いて上肢および下部体幹の回旋角度を測定した。なお、胸郭に貼付
したマーカーから上部体幹の、骨盤に貼付したマーカーから下部体
幹の回旋角度を算出した。内側肘関節裂隙長変化景と各回旋角度と
の関連性を検討した。
【結果】内側肘関節裂隙長変化量は、ボールリリース時の下部体幹回
旋角度と相関関係の傾向を示した(r=0.46、P=0.08)。上部体幹回
旋角度は肘内側不安定性と有意な相関関係を認めなかった。
【考察】下肢から始まり体幹を経由して団支へとエネルギーが伝達す
る運動連鎖は投球動作において重要とされており、下部体幹回旋角
度と投球側肘内側不安定性に関連性がある可能性が示唆された。