【背景】外傷の緊急処置法はRICE処置を行うが、RICE処置の中で積極的止血法で材料を必要としないElevationに着目した.しかし、どの程度の挙上が必要なのか示されていをいのが現状である。【目的】本研究は、Elevationが四肢の脈圧に及ぼす影響を比較検討した。【方法】被験者は健常者9名、脈圧測定は間接血圧測定法を用い、背臥位とした。上下肢動脈を測定し、比較は上肢群と下肢群を分けControl群とElevation 10cm、20cm、30cmとした。総計はt-testでp<0.05でおこなった。【結果】上肢の比較ではControl群と10cm群は差が認められなかった。20cm群、30cm群は収縮期・拡張期血圧群に有意差が認め
られたp<0.05。下肢の比較ではControl群と10cm群は差が認められなかった。20cm群、30cm群は収縮期・拡張期血圧群に有意差が認められたp<0.05。【考察】RICE処置における挙上の目的には血液を低下させ出血や腫脹を防ぐ目的がある。血圧が低いほうが症状の軽減に有利であると考えられている。Elevation処置は心臓からの駆出血圧が重力の影響を受けたことが考えられた。今回の結果で背臥位では上肢下肢ともに心臓の高さ20cmのElevationで有意に血圧が下がった。心臓位より高位20cm Elevationは重力の影響を受けて脈圧が減少したと考えられる。本研究の結果からRICE処置を行う際の
Elevationは上下肢共に20cmは減圧効果があることが示唆された。今回は被験者が健常者であること、血管の状態、薬物服用時にElevation処置が四肢の脈圧に及ぼす影響の検討は今後の課題である。【結論】背臥位での四肢のElevationは、心臓位より20cm以上で収縮期脈圧、拡張期脈圧を減圧させることが示唆された。