【目的】九州大学心療内科による40歳以上を対象とした久山町研究で共感情症の強い者は、そうでない者と比較して6カ月以上続く慢性嬢痛の有訴率を2倍から3培に増大させることが報告されている。また、父親および母親から受けた16歳までの養育態度と、慢性擾痛の有無について、両親から受けた低ケア・高過干渉の養育スタイルと慢性痺痛の有訴率との間に有意な相関が報告されている。これらの先行研究の結果から、養育を終えて間もない時期における実感情症と被養育体験が慢性疾病に密接に関係するのではないかと考え、その仮説を検証するために若年者における痺痛と実感情症や被養育体験との関係性を報告する。【方法】対象者は、T大学の2年生から4年435名(男性327名、女性108名;年齢20.8±0.8歳)を対象とした。質問紙は、痺痛に関する質問紙と実感情症を調査する。The 20-item Toronto Alexithymia Scale(以下、TAS-20)、
養育スタイルを調査するParental Bonding Instrumentとした。【結果・考察】6カ月以上痺痛が持続している慢性痺痛の有訴率は、28.7%であった。TAS20の総得点において、慢性嬢痛保有群が慢性痺痛非保有群に比べて有意に高かった。Shibataらの40歳以上を対象とした久山町研究では、T賂20総得点が5什-60点で1ふ60点以上で2.6というオッズ比で、慢性痺痛の有症率が有意に増加するとの報告がある。今回の大学生を対象とした調査も、慢性痺痛保有群でTAS20の総得点が有意に高かった。代替医療施設で共感情症傾向を測定し早期発見することで、自分の未分化な感情をラペリングし言語化で表現できるように訓練すれば慢性嬢痛の予防につながることが示唆された。