【目的】柔道整復で日常的におこなわれている超音波照射が腰部 PPT に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は、腰痛が無い男子大学生 6 名(20.3±0.5)に対して腹臥位にて第 2 腰椎の両側横突起部に対して(株)イマダ製 TZA5000N を用い、付属アタッチメント形状 S-2 平型に対し、冷たさを感じないようにホワイトテープを貼付した後に腰部 PPT
を測定した。その後、右測定部に対して伊藤超短波(株)製、超音波照射機 US-750 の L 型 Probe を用い、流動パラフィンを用い、OTM、3MHz、100%Duty、0.5w の設定で 5 分間照射した。照射後再度第 2 腰椎の両側横突起部を測定した。【結果】安静時、第 2 腰椎の両側横突起部の安静時、左右の PPT に有意な差は認めなかった。無処置群である左腰部 PPT は、安静時 79N、照射後 86.8N であった。超音波照射群である右腰部 PPT は、安静時 80.5N、照射後 109.8N で超音波照射後 PPT は有意な上昇を示した(p<0.05)。【考察】本研究では、PPT に及ぼす影響を検討した。その結果、超音波照射後に PPT 閾値が増加した。この結果は、超音波が侵害刺激に対する閾値を上昇させたことを示している。圧痛刺激に応答する皮膚上の感覚受容器としては、高閾値侵害受容器やポリモーダル受容器が存在する。超音波照射により皮膚表面および筋深部の感覚受容器の閾値が上昇し、これが痛覚や圧痛などの侵害刺激の感度の低下と痛覚および圧痛閾値の上昇をもたらしたと考えられる。【結語】超音波照射 5 分は、左腰部において仏痛閾値を上昇させる効果があることが示唆される