【背景】多くの柔道整復養成校は公益社団法人柔道整復研修試験財団が実施する「認定実技試験」を受験し、国家試験に臨んでいる。認定実技審査の実施項目は「柔道整復師国家試験必修項目出題基準」とマッチしており、そのまま国家試験対策となり、実施するメリットが大きいと考える。しかし、受験者には傷病名を明示された状態で試験をするため、実際に臨床現場とのミスマッチも多い。そこで本学では、模擬患者を使用し、より臨床現場に近い環境である客観的臨床能力試験(以下:OSCE)を実施している。本学で行っているOSCEの特徴は①ループリソク評価表を作成し、評価する側が客観的に評価できるように評価項目を設定。②模擬患者を学生が行い、模擬患者役学生も評価される③グループワークにより診察マニュアルを学生自身が作成し、グループワークとアクティブラーニングを行う。④実施項目は認定実技試験と同じ項目とし国家試験必修出題基準を考慮する。⑤評価は複数人で行い、より客観的評価する。特に本研究ではOSCEにおける客観的な評価が行われているかを、昨年実施した学内OSCEの結果から審査員間の点数差を比較した。【結果】昨年度の教員間評価点数差は教員A34.65点数員B35.55点(40点満点)、その差が0.9点で統計的な有意差は無かった。【考察】柔道整復研修試験財団発表の過去3年分認定実技審査統計調査において、自校審査員と派遣審査員の点差に大きな点差はなかったと報告がある。
本学が行っているOSCEにおいても統計的に有意差がないことから本学実施のOSCEは客観的な評価であることが示唆された。要因としては評価表の細かい設定が考えられる。しかし課題として、模擬患者役は自覚症状を伝えることができるが、他覚症状伝えることが難しい点があげられる。今後は課題の解決や評価表の精査により、より客観的な評価をしていきたいと考えている。