運動療法で使用されることが多い数種の姿勢における脈拍数/分(以下:脈拍数)を測定・分析することを目的とした。各姿勢おける脈拍数の平均値(標準偏差)は、座位66.3(±6.7)、背臥位65.3(±5.2)、側臥位66.7(±4.2)、腹臥位68.0(±6.6)、四つ這い位81.3(±4.9)、膝立ち位81.3(±4.9)で、膝立ち位が背臥位・側臥位・腹臥位よりも有意に高い結果となった。膝立ち位時の脈拍数は、背臥位・側臥位・腹臥位時と比較し約10%の増加がみられた。支持基底面が広く重心が低い膝立ち位保持においても、立位時と同様の抗重力筋活動による交感神経系の亢進・重力による循環系への影響があることが示唆された。一方、背臥位・側臥位・腹臥位では心臓の位置も低く除重力方向の循環であること、四つ這い位では膝立ち位と比較して安定した姿勢であることから、重力の影響が少なく脈拍数への影響が少なかったことが考えられた。