保育園や幼稚園では、年に1~2回、外部からプロの演奏家を招き、コンサートを鑑賞する機会を設けているところが多く見受けられるが、日常の保育とのかかわりはほとんど考慮されていないものと思われる。公立幼稚園の三歳児クラスにおいて、外部の演奏家による打楽器のコンサートを行い、コンサートが遊びの中にどのような形で取り入れられていくのかを、8ヶ月間に渡り観察した。本研究により、アウトリーチにおける文化的実践は幼児に強い憧れを与え、主体的な遊びを引き出し、保育者の援助の下、文化を日常の保育の文脈へと繋ぐ架け橋となることが明らかになった。