乳児が自ら手を伸ばしてモノと意図的にかかわれるようになる5か月以降、手をどのように使い、音を探索するのかを明らかにすることを目的とした。ひとりの男児Tを観察した研究の結果から、T児が手を使い音を出すさまざまな動き―指先を揃えて手前に引いたり向こう側に押したりする、手のひらを開いたり丸めたりする、手のひらや爪でモノの表面を擦る、モノを持ちモノ同士を当てたり擦ったりする―が認められた。また、時間の経過とともに、動作を断続的に行ったり、異なった動作を交互に行ったり、力加減を変えたり、動作を行う速度を上げたり、両手の距離を変化させたりして、モノと探索的にかかわることが示唆された。また、T児が音に反応して笑う姿から、T児が音に興味を持ち、さまざまな動作を繰り返しているものと推察された。