近年では足部の変形や足指筋力の重要性に関する報告について,高齢者や女性を対象にした研究が多く見受けられるが,スポーツ選手を対象としたものは現在のところほとんどみられない.そこで,本研究では全指をそれぞれ測定可能な足指筋力システムを開発し,ジュニア期のラグビー選手の足指筋力を測定するとともに,足部形状を計測した.外反母趾角については左右とも正常値の範囲内であったが,内反小趾角については右足が16.4±4.57°,左足が15.8±4.34°であることから軽度の内反小趾が認められた.内反小趾の原因としては幅の狭い靴を着用していることが考えられることから,今後の成長を考えると幅の広い靴に替えることも必要であろう.第1指と第5指の足指筋力が体重と相関関係が見られたのは,体重を支えるという観点からこれらの足指が重要な役割を担っていることが考えられる.ヒトの体重は足部の第1中足骨骨頭,第5中足骨骨頭,踵骨にそれぞれ2:1:3の割合で配分される.このことから考えても,第1指と第5指の足指筋力と体重に相関関係が認められたのは当然であると考えられるが,発育にともなって体重の増加時に足指筋力を高めなければ,大筋群である大腿四頭筋やハムストリングスの筋力を生かせないのではないかと考えられた.