丸山 奈保、安部 茂
<概要>植物の揮発性成分は、古来より防菌・防腐効果のために使用されてきた。揮発性成分を抽出した植物精油(精油)も、その抗菌作用、抗炎症作用から注目が集まり、経験的に感染症ケアに使用されている。近年は一部の医療従事者の関心も高まり基礎及び臨床分野での研究もはじまってきている。我々は、精油の真菌症に対する効果を明らかにすべく、抗真菌作用及び抗炎症作用に関する基礎研究を行ってきた。具体的な対象は私達にとって身近な表在性真菌症である白癬や粘膜カンジダ症、および炎症症状である。ここでは、真菌症治療に重要な植物精油の特性と治療手段としての可能性について、我々が行ってきた研究も含めながら紹介した。